酸素は人間の生命の維持には欠かせないため、酸欠事故(酸素欠乏症)は、脳をはじめとした人体に多大な影響をお呼びし、死亡率が高い特徴があります。酸素欠乏症の危険がある作業は、土木、建設、化学、食品、清掃等をはじめ幅広い業種に認められ、対策が進んでいるものの、いまだに基本事項の欠如による酸欠事故が毎年発生しています。平成27年の被災者数においても前年度の1名から9名と増加傾向にあり、注意が必要です。今回は、酸素欠乏危険作業における酸欠事故(酸素欠乏症)の対策の基本についてまとめます。
1.酸欠事故の特徴との労働災害の現状
酸欠事故には、酸素欠乏症によるものおよび硫化水素中毒の発生を伴う酸素欠乏症によるものがあります。表1は酸素欠乏症および硫化水素中毒の労働災害の発生状況をまとめたものです。平成元~5年と平成23~27年の各々5年間の累計件数を比較すると、酸欠事故の労働災害の被災者数は長期的には減少傾向にあるものの、被災者数に占める死亡者の割合は逆に近年上昇しており、被災者の約6割が亡くなるほど高くなっています。つまり、酸欠事故は一度発生すると甚大な被害につながる危険性が高いことが特徴です。また、発生時に職場で救出作業中に同様の酸欠事故で被災する二次災害が目立つことにも注意が必要です。
業種別の労働災害発生状況では、図1にあるように酸素欠乏症は製造業と建設業において突出して多く発生し、全体の約3/4はこの2業種で発生しています。一方、硫化水素中毒は清掃業が最多であり、製造業、建設業と合わせて、全体の約9割を占めます。また、発生月別の傾向では、6~10月にかけて多発する傾向があります。