病職歴調査

病職歴調査とは

病職歴調査は1984年から全国の労災病院で、入院患者を対象に病歴と職業歴等を併せて調査している、労災病院グループ特有の大規模調査です。

病職歴調査の目的

この調査は、労災病院に入院された患者さんの病歴と職業歴及び喫煙歴等の生活習慣を併せて調査し、それにより得られた情報を診療に役立てるとともに、働く人々の職場環境と疾病との関連性を臨床的、疫学的に研究し、これらの研究成果を勤労者の健康の保持増進及び疾病の予防・治療・職場復帰支援に活用することを目的としています。

病職歴データとは

病職歴データとは、病職歴調査により得られた情報を全国労災病院グループのネットワークを活用して収集しデータベース化したものであり、「病歴情報」と「職業歴情報」を併せ持つ我が国唯一の大規模データベースです。

病職歴調査は、「病歴調査」と「職業歴等調査」で構成されています。病歴調査は、労災病院グループに入院した全ての患者を調査対象として、主治医が記載する入院診療要約書(サマリー)により調査しています。病歴情報のうち、確定診断名についてはICD-10(国際疾病分類)を用い、手術についてはICD-9-CM(国際疾病分類)を用いてそれぞれコーディングしています。
一方、職業歴等調査は、労災病院グループに入院した患者のうち15歳以上の全ての入院患者を対象として、現在の職業だけでなく、過去に従事していた職業を3つまで遡り調査をしています。 職業歴情報については総務省より告示されている「日本標準産業分類」及び「日本標準職業分類」に従ってコーディングしています。調査で得られた情報は、各労災病院の診療情報管理士と職業歴等調査員により病職歴データベースへ登録されます。

病職歴データの構成等

病職歴データの項目はこちらをご覧ください。

病職歴データベースを活用した研究実施に関する情報公開

インフォームド・コンセントを受けない場合において、「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針(令和3年文部科学省・厚生労働省・経済産業省告示第1号)」に基づいて、下記のとおり情報を公開します。

研究課題名 研究期間
心房細動・心原性脳塞栓症、心筋梗塞、心不全の発症と労働時間・喫煙・飲酒を含めた生活習慣との関連 R7.4.3~R9.3.31
耳鼻咽喉科入院治療の変遷に関する分析;入院患者病職歴調査を活用した探索的研究 R7.4.1~R10.3.31
病職歴や居住地域による髄膜腫の発生リスクの差異 R7.4.1~R9.3.31
認知症を有するCOVID-19感染患者の入院の実態調査 R6.10.30~R8.3.31
入院患者病職歴調査における職場復帰の希望に関する研究 R6.9.27~R8.3.31
ICD-11導入前の課題に関する分析;入院患者病職歴調査を活用した横断研究 R6.9.27~R8.3.31
周産期患者に関する疫学調査;入院患者病職歴調査を活用した横断研究 R6.9.27~R8.3.31
医療職患者に関する疫学調査;入院患者病職歴調査を活用した横断研究 R6.9.27~R8.3.31
退院時不安患者に関する分析;入院患者病職歴調査を活用した横断研究 R6.9.27~R8.3.31
難聴と職業・産業:入院患者病職歴調査を活用した横断研究 R6.9.27~R8.3.31
入院患者病職歴調査による難病と職業因子に関する系統的かつ探索的研究 R6.9.27~R8.3.31
入院患者病職歴調査による呼吸器・循環器疾患と職業因子に関する系統的かつ探索的研究 R6.9.27~R8.3.31
入院患者病職歴調査によるがんと職業因子に関する系統的かつ探索的研究 R6.9.27~R8.3.31
労災病院群における脳卒中・循環器病入院患者の疫学分析 R6.9.27~R8.3.31
労災病院群における新型コロナウイルス感染症入院患者の疫学分析 R6.9.27~R8.3.31
労災病院入院病歴データベースを用いた職業分類と健康影響に関する研究 R6.9.2~R15.3.31

病職歴データベースの活用(研究成果)

病職歴データを活用した事例のうち、出版元の許可を得て閲覧可能なものを掲載しています。

研究論文

年度 氏名 論文名 掲載紙
令和6年 佐野 圭 Association between ocular diseases and screen time and sedentary time derived from job-exposure matrices Scientific Reports ( 2024 Nov 7;14(1):27042. doi: 10.1038/s41598-024-74854-y)
深井 航太 Developing a Job-Exposure Matrix for Sedentary Behavior: A Study Based on the Inpatient Clinico-Occupational Database of Rosai Hospital Group. Journal of Occupational and Environmental Medicine 67(1):p 73-77, January 2025. | DOI: 10.1097/JOM.0000000000003258
令和5年 金子 麗奈 (独)労働者健康安全機構入院病職歴データベース(ICOD-R)と入院患者レセプトデータのリンケージの試み 日職災医誌, 71: 30-35, 2023
深井 航太 Length of employment in workplaces handling hazardous chemicals and risk of cancer among Japanese men OccupationalandEnvironmentalMedicine (2023;80:431–438.)
佐野 圭 Association Between Alcohol Consumption Patterns and Glaucoma in Japan Journal of Glaucoma (2023;32:968–975)
令和4年 豊田 章宏 15年間の死亡統計から学ぶ:全国労災病院病職歴データベースによる検討 日本職業・災害医学会誌 70:131-139,2022
深井 航太 Alcohol use patterns and riskof incident cataract surgery: a largescale case–control study in Japan Scientific Reports (12:20142, 2022)
中澤 祥子 Occupational class and risk of hepatitis B and C viral infections: A casecontrol study-based data from a nationwide hospital group in Japan Journal of Infection and Public Health 15 (2022) 1415–1426
中澤 祥子 Occupations associated with diabetes complications: A nationwide-multicenter hospital-based case-control study Diabetes Research and Clinical Practice Volume 186, April 2022, 109809

入院患者病職歴調査基礎解析(入院患者病職歴調査統計処理専門委員会作成)

令和6年 入院患者病職歴調査基礎解析
令和5年 入院患者病職歴調査基礎解析
令和4年 入院患者病職歴調査基礎解析
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